第4章 放課後の呪者
「部屋を一つ用意してほしいとのことでしたので、小会議室を用意してあります。相談のある者はそちらに出向くよういってありますので……ああ、ここです」
案内された部屋は広めの教室。
中には長テーブルもパイプ椅子にボードがある簡潔な場所。
どこの学校にでもある普通の会議室である。
あたし達は部屋に入り辺りを見渡す。
そんな中、吉野先生が恐る恐るとぼーさんへと視線を向けた。
「……あの、あなたがリーダーですか?」
「いやいや、あっちっス」
聞かれたぼーさんがナルを指さす。
すると吉野先生は疑わしそうな、戸惑っているような表情で口を開く。
「──あ、あの……じつはですね。わたしも相談したいことが……」
早速な事にあたしと麻衣は思わず顔を見合わせた。
「……うかがいます。おかけください」
「はあ……」
吉野先生は不安げにしながら椅子に座り、机を挟んだ目の前にナルが座る。
あたしたちは邪魔にならないように端の方に移動し、吉野先生の相談内容を聞いた。
「……あの……ですね。あの……夜……ノックの音がきこえるんです。それがしつこく続くもので、思いきってカーテンを開けると……」
そこには生じろい手が、窓を叩いていたという。
「それがスッとひっこんで、それきり音はやむんですが、翌日にはまた同じ事が……」
吉野先生を聞いたあたしはゾッとした。
そんなの見てしまったら、夜は眠れないし怖くてたまらない。
しかもそれが続いているのなら、よけい眠れない。
よく見れば、吉野先生の目の下には隈がある。
やつれている原因はそのせいなのかもしれない。
「無視しようとすると朝まで、ずっと叩いてるんです。最近はぜんぜん眠れなくて……」
「……ノックだけですか?」
「はい」
「その音は先生以外の人にもきこえますか?」
「はい……でもわたしほど気にならないようです」
「そうですか……」
ナルは吉野先生に『調べてみます』とだけ伝え、先生はこちらに一礼すると会議室を出ていく。
それを見送ったあたし達は、少しだけ驚いてしまっていた。
「……いきなりかよ」
暫くして校内に授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
そして会議室には、先日依頼しにきてくれた子が恐る恐るとやってきた。