第4章 episode4
轟 side
『爆豪せんぱーい!!』
『うっせぇ 猫女!ついくんな!』
俺がまだ雄英生だった頃の話。
食堂でいつものように緑谷と飯田と昼飯を食べながら、目の前を爆豪とが通り過ぎていくのを目で追う。
『今日もやってるねーあのふたり。』
と緑谷が苦笑いしている。
また後でが話を聞きいてくれと、ドタバタ話に来るんだろう。
フッと笑みがこぼれ、そのまま蕎麦をすする。
「なぁ、2人は好きなやつとかいるのか?」
俺の質問に緑谷と飯田はすごい音を立ててむせ返っている。
『ど、どどど、どうしたの轟くん!?』
『君からそんな質問がくるとは…』
顔を真っ赤にしている2人は、該当するやつがいるのか…?
俺はもう一口そばを蕎麦をすすって一息つく。
「好きな人とかよくわかんねえんだ。俺ん家、お前らも知ってると思うが、夫婦の仲が良かったわけでもねえし。むしろ最悪だ。好きの手本が身近になくてな。人を好きになるっていう感情が、いまいちよく分かんねえんだ。」
驚いていた2人だが、すくに真剣な眼差しになる。
そして静まり返ったこの空気の中、ドタバタと近づいてくる足音。
『とーどーろーきーせーんぱーーーいっ!!』
「なんだ」
『聞いくださいよー!…――――――』
ものすごい速さで爆豪の愚痴を話す。
この時間は嫌いじゃない。
時々何を言ってんのかさっぱり分からないがな。
話し終わり、スッキリしたのか「ありがとうございましたー」と片手をヒラヒラさせて教室に戻っていく姿を見送る。
ほんと自分勝手なやつだ。
『轟くん』
俺の名前を呼ぶ緑谷はとても柔らか表情をしていて、
『今のその気持ちが、好きってことなんじゃないかな。今の轟くん、ものすごく良い表情してるよ!』
隣の飯田に目を向けると、腕を組んでコクコクと頷いている。
俺がを好きだと気づいたのは、
この感情に名前がついたのは、3年の夏頃だった。