第24章 【失われた髪飾り】
「そうです、私の名前はヘレナ・レイブンクロー。母はロウェナ・レイブンクローと言います」
「何故……っ!?」
「私は――私は母の才能が羨ましかった!いえ、憎んでさえいました!!だから母の髪飾りを奪ってアルバニアの森の中に隠したのです。そして愚かな私は、それをトム・リドルに話してしまいました」
その名を聞いた時、クリスのこめかみがピクッと動いた。
「何故、それを私だけに……?」
「それは……貴女がトム・リドルの子と知って……」
「つまり私をトム・リドルの代わりとして罪を告白することで赦されようと?」
奴の代替品の様な扱いに腹を立てたクリスが、険しい顔つきで問いつめると、ヘレナ・レイブンクローは言い辛そうに眉をひそめ、羞恥心からうっすらと頬を染めた。
そんな彼女に、ルーナは寄り添うように優しく肩を抱いてあげた。
「クリス、そんな言い方しないであげて。ヘレナはもうずっと長い間、このことで悩み苦しんできたんだよ?」
「まあ、それはそうだろうけど……」
ヘレナがゴーストになったのは、きっとこれらの因果関係が複雑に絡んでいるのだろう。
クリス個人としてはどうでも良いことだったが、自分と同じく勝手に英雄に担ぎ上げられ、それでも抗い、進み続けるハリーの横顔がふと頭をよぎり、クリスは深いため息を吐いた。
……仕方がない。これもヴォルデモートの娘として生まれてきた代償だ。クリスはヘレナに視線を合わせるため、やや膝を曲げた。
「ヘレナ、貴女のしたことは間違っていたかもしれない。しかしあなたもそれ相応に苦しんできたはずだ。それに『失われた髪飾り』はもうこの世には存在しない。ならばあなたの罪ももう存在しないだろう」
「では……では赦してくれますか?私の……私の母に対する醜い嫉妬心と愚かな行為を」
「誰にだって過ちはあります。それを自ら認められたのであれば、貴女の罪はたちまち浄化されるでしょう」
こんな時、神父や牧師がどんなことを言うのかなんて知らないが、クリスは出来るだけヘレナの思い描いている聖職者を真似てみようと思った。
するとヘレナはまた真珠の様な涙を流しながら、「ありがとう、本当にありがとう」とお礼の言葉を繰り返した。