第21章 諦念
――釘崎野薔薇side――
喉が渇いたから自販機で何か買おうと思い、部屋を出て廊下を歩いていた。
そしたらとばったり会ったんだけど、その姿に言葉を失くした。
頭からつま先までべっしょり濡れていた上に、その顔は死人のように青白く、目なんてどこを見てるのと疑いたくなるレベルで虚ろだった。
私は自分の当初の予定を忘れ、彼女の腕を掴み自分の部屋に戻った。
バスタオルで濡れた頭をがしがしと拭きながら「なんでずぶ濡れなの。傘はどうしたの。何かあったの」と聞くも、は心ここに非ずといった感じで、うんともすんとも言わない。
それどころか私の声さえ届いていないような気がした。
これは確実に何かあったわね。
私一人ではこれは解決できそうにない。
そう思い、私は真希さんに電話を掛けた。
「真希さん、が今ヤバい状態なんですけど……今からと一緒にそっちに行っていいですか?」
≪ヤバいってどんな感じにだ?≫
「一人お通夜feat.ずぶ濡れです。なにかあったのは間違いないんですけど……」
≪わかった。じゃあ食堂に来い。あいつらも連れていくわ≫
あいつらって、パンダ先輩と狗巻先輩のことかしら。
なんで先輩たちも?って聞こうとしたら電話を切られた。
まぁ、いいか。
あの人たちはあの人たちで、本音を引っ張りだすのがうまいし。
箱根旅行の時、少し本音を話せた仲だから話してくれそうだし。