第6章 独眼竜が出てきたらどうしよう
体の痛みで目が覚めた。
床が固い。また屋根裏で寝入ってしまったのだろうか。幸村を守る立場でありながら情けない。
しかし、それなら才蔵あたりが殴りかかって起こしてくるだろう。
むずむずと体勢を変えれば、すっぽりと妙に収まりのより場所にたどり着く。
「!!!!!!」
声を上げなかったことを褒めてほしい。
寝ぼけた視界のすべてを眉目秀麗な容姿が占めていた。
固いと感じたのは張りのある胸。
触れた部位から規則正しく動く音が聞こえる。寒がっている様子もないことから体温も落ち着いたのだろう。
小助は男の胸の中、あのまま深く寝入ってしまったことを後悔した。
夜を越すだけのつもりだった。元は壁だっただろう隙間から入る陽光の高さからもう昼近いことがわかる。
細い吐息が額にかかり、小助の足先まで電流が走った。
眠れる竜が何事かを呟き、腰に回された腕の重みが増す。
どうやら起こさずに済んだようだが、眠ったままでも雷の気を使ってくるとは恐ろしい。
十全とは言い難いが、睡眠がとれたことで体力は戻っている。
身代わりの技くらいなら使えそうだが、起こさずに逃げ切れるだろうか。
ここは普通に振り払い、普通の女の振りをして隙を狙った方がよいだろうか。
思案する時間は少ない。小助の目が覚めた以上、この男だっていつ目が覚めるかわからない。
まずは腕から逃れるべく、体をずらす。慎重に確実に少しずつ。体勢があいまいなことと治りきらない傷が障る。
痛みから最後は少し急ぎになってしまったが、なんとか脱出できた。が、その安堵から反応が遅れた。