第1章 Episode 01
調査兵団が管理する墓地には、数えきれないほどの英霊が眠っている。曇天の昼下がり。ようやく壁外調査の後片付けが落ち着いて来た頃、リヴァイは2人の墓参りへと赴いた。つい数日間前までは生きていた、かけがえのない仲間との再会だった。しかしそこに2人の骨は埋まっておらず、名前が彫られた小さな石碑が佇むのみだ。
あの日、エルヴィンに諭されて、リヴァイは調査兵として生きて行くことを決意した。この決断に後悔などしない、悲しい過去は置き去って生きていく。しかし時々振り返らずにはいられないのだ。だから、こうして2人の元に足を運んでいる。
「....おい。こんなとこで座り込むんじゃねぇよ、服が汚れるだろうが」
「_リヴァイ。....生きてたのね」
「....」
リヴァイが2人の元にやって来た時、そこには先客がいた。墓石の前には、リヴァイが手に持つものと同じ白い花が既に供えられ、頼りない後ろ姿の女が座っている。それはリヴァイが壁外調査でその姿を見ていなかったエミリーであった。彼女に声を掛けてみると、リヴァイは思ってもみなかった言葉を返される。リヴァイが生きていたことを知ってそう言葉を吐いた彼女に対し、リヴァイはそれ以上何も言わず、自分が咎めた筈なのに彼女の隣へと腰を下ろした。
「俺もお前は死んだと思っていた。そうか、お前が書類を中央にまで届けた兵士か」
「っ....」