第22章 1 John 1:9
浴室でゆっくりと髭を剃ろうと思っていたけど、それすらもできずに浴室を出た。
それでもなんとか用意していたバスローブを着たが、その場で蹲ってしまった。
床の冷たさが嫌でも季節を感じさせる。
今は本当に12月で冬なんだ。
起き上がって椅子に座りたかったが、まだ体が言うことをきいてくれそうもなかった。
でもその割に、頭の中はクリアになっている。
次々と考えなければいけないことが頭の中に沸いてくる。
「…智…」
本当に、智だった。
温かい手やあの声のトーン。
全部、本物だった。
「情けねー…」
そりゃ、智だって俺の前に姿現すよな…
絶対俺には関わらないって決めていたんだろうに。
「俺がこんな情けない状態になってるから…」
涙が溢れてくる。
泣いてる場合じゃないのに。
泣く元気があったら、今すぐ立ち上がって服を着てベッドに行ったほうがいいってわかってるのに。
何を思って誰を思って泣いてるのかわからない。
自分になら嫌悪すべき唾棄案件だが、判断できなかった。
しばらく涙が流れるままにしておいて、床に寝転んだ。
天井を見上げていると、足音が聞こえてくる。
幻聴かなと思っていたら、洗面所のドアが開いた。