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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第6章 𝔽𝕠𝕦𝕣 𝕠'𝕔𝕝𝕠𝕔𝕜


《爆豪side》


「爆豪ーー!もうすぐ体育祭だしよぉ!オレらも放課後特訓しねぇか?!」

『しねェわ!勝手にやってろッ!』

行き場のねぇ憤りが胸の奥に湧き上がり気分が荒れる
視界に入るもン全てが目障りに見えてきやがる

ポケットから少量の火花が散り、焦げクセェ臭いと音が耳に入る

クソッ
オレはポケットから手を出して、教室のドアに手を掛ける
廊下から差す光はウゼェほど眩しくて、でもその代わり不気味なほど辺りは静まっていた




_____あの日オレは ひかりに告ったつもりだった

『好きだからだろ、好きだから触れたいと思うんだろうが』

けどアイツにとっては
"オレ"がというより、"轟"がに聞こえたはずだ

言い方が回りくどかったとしてもだ
アイツの頭ん中は轟しかいねぇ、轟の考えてることが知りたくて勝手に苦しんでやがる

…ガキん頃はオレの背中を追いかけてるだけで、他のヤツの事なんて頭になかったはずだろうが


自分の面が気色ばむのが分かる
…大体今までどこで、誰と一緒にいたんだよッ
ますますムシャクシャしてきて歯ぎしりする

つーか轟とどうなってんだよ
付き合ってる訳じゃねぇなら、轟が一方的に遊んでンのか?それならブチ殺す


ようやくドアを乱暴に開け、教室へと踏み込む
窓が開きっぱなしで両脇のカーテンが膨らんでは不規則に揺れ続ける

教室内には誰も…
…いねぇほうがはるかにマシだ


同じように不規則に、上半身を上下させて机に突っ伏している女が一人
まるでオレを待ち構えていたかのように堂々と寝てやがる

『…わざとやってンのかよッ』

忌まわしいほど安らかな寝顔をこちらに見せつけている
だが癇に障るどころか、先程までの蟠りがすんなりと引いていく

そんな都合のいい単純な自分の有り様にウンザリしちまう
コイツの前だと張っている糸が緩むみたいに、力が抜ける


オレは自分の机を通り過ぎ、 ひかりの真ん前までやってくる
ほぼ無意識だ
…絶対オレのモンにする


内心そう言い立ち去ろうとしたとき


「…かつきくん」


気がつけば ひかりに手を伸ばしていた
オレを惑わすその唇を塞ぎたくてしょうがなくなってた


「感心しねぇな、寝てる女に手ぇ出すなんざ」

低く氷のように冷たい声音がオレの動きを憚らせる
そいつは今一番見たくねぇ顔だった
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