第5章 𝕆𝕕𝕠𝕟𝕥𝕠𝕘𝕝𝕠𝕤𝕤𝕦𝕞
「急いでて…前見えてなかったの、ごめんね!!」
『おいッてめぇ!んだその態度は…』
ぶつかってきた女が下げた頭を上げたとき
自分の息が止まり、心臓が嫌な音を鳴らしたのが分かった
「爆豪くん!また明日!」
女はオレにお構いなしに背を向けて、ぶつかったばかりだというのに雄英の廊下を走り去っていく
その何かを無我夢中で求めるような瞳に腹の奥がザワザワして曇る
「チッ」
色褪せていた記憶が蘇り照らし合わせる
感情は複雑だったし確信はねぇ
でも、もしアイツだったら…
アイツが覚えていようがいまいがクソどうでもいいと思った
アイツがオレの前に戻ってきた
その事実以外何も必要なかった
アイツが ひかりだと確信したときも別に何も思わなかった
アイツが目の前にいるだけでそれだけで満たされたからだ
それ以上は望まねぇ、つーか望みたくねぇ
また消えたとき多分どうしていいか分かんねぇんだよ、オレは
それにアイツは轟に惹かれてる
オレが ひかりを見ンのと同じようにアイツも轟に同等な想いを抱いている
例え
アイツらがバスでいちゃつこうが
目の前でその手を引き轟が掻っ攫おうが
アイツが、あの頃と同じようにオレを下の名前で呼ぼうが
轟がアイツの身体に触れようと________
「……勝己くん…?」
『今度はぜってぇ逃さねぇ、嫌がっても必ず捕まえてお前をオレのものにしてやるわ』
嫌に決まってんだろうが
ひかりを見たときあの頃とあんま変わんねぇなとか思ったがオレも大概かよッ
ずっと変わらねぇ
お前が好きだ
好きだから、今度はぜってぇ離さねぇ
泣き叫んでも、他のヤツが好きでも
゛ ひかりはずっとオレに守られてんの
ふつー科でも学校同じだから、一緒に通えるだろ゛
オレが一緒にいてやンよ、こちとらお前を守るってずっと前から決めとンだわ