第5章 𝕆𝕕𝕠𝕟𝕥𝕠𝕘𝕝𝕠𝕤𝕤𝕦𝕞
萎えンな…
萎えるだけならいいが、最近はこの行為に吐き気すら覚えてくるようになった
クセェ…ウゼェ…気持ちわりぃ
オレに言われた通りにケツを突き出し挿入を待つこの女が酷く気色悪く感じる。コイツの中にオレのを挿れるだけでも穢れそうでとても一つになりてぇと思えなかった
『萎えたから止めるわ』
オレはそこら辺に無造作に脱ぎ捨てられていた衣服を片手で持ち上げ、女に投げつける。女は面食らってポカンとしている
コイツ…名前なんだったか
女に構わずオレは脱ぎ捨てた服を冷えた身体の上から羽織っていく。衣服にまだ温もりがあって、脱いでからさほど時間が経っていないことが分かった
…コイツともそろそろ潮時だな
「ねぇ…最近おかしくない?
怖いんだけど…てか最後までやってよっ」
『彼氏と仲直りすればいいだろ』
「ふざけないでよ…ねぇムリやってよ
勝己がいいの、お願い、はやくぅ」
今度こそ目の前の女にドン引きする。それどころか今まで一度でもコイツと身体を交わらせたことが不愉快極まりなかった
四つん這いでオレに縋り付くように伸ばしてくる手を振り払う
『もう関わんな』
そう吐き捨てて、出口へと向かうと弱々しい卑屈な笑い声が耳に届く
「…あぁそっか ひかりちゃん、だっけ
忘れられないんだもんね…?」
扉がうるさい音を立てて閉まる
壁の向こうにいる女に向けてのイラつきなのか
それとも、勝手に消えた女へのものなのかは分かんねぇ
゛わたしも行きたい!勝己くんと同じところ!゛
゛いいけど、 ひかりはふつう科だな゛
゛ふつうか…?゛
゛そ、オレはヒーロー科
でも ひかりはヒーローにはならねぇからふつう科゛
所詮ガキの頃の戯言なのはわかってる
もうあの頃からだいぶ経ってるし、オレ自身今更会いてぇとかそんな感情があるわけじゃねぇ
記憶にあるアイツの顔が段々と薄れてゆく
何も言わずに姿を消したアイツ
綺麗サッパリ忘れられればどんだけ清々するか
こちとら不完全燃焼拗らせてんだよッ
結局、足は不本意にオレをここに連れてくる
ひかりと最後に会ったあの公園に
アイツがオレに触れて傷を治したあの日に還る
どうでもいいどころか、いなくなったあの日から
アイツの存在が自分と同じようにどんどんデカくなってやがる