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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒





言い切るのと同時に私は上半身を縮こませ
気張っていた体の力を抜く


伝えたいことは伝えられた…
でも胸の中のモヤは晴れない

それどころか面積を増していく
自分でも勢いに任して何を口走ったのか覚えてない


勝手に変に解釈して更に轟くんに傷付けてないだろうか…そうと思うと堪えていた涙腺が緩みそうになる


控えめな足音が耳に届き、こちらに向かってきていることが分かる




「 秋月 」



私は本当に小さく首を左右に振る
彼の言葉を聞くのを拒否するように









「顔を上げてくれ 秋月 」


優しくていたわるようなその声色に
私は自然と顔を上げていく



轟くんの微笑んでいる顔を私は初めて見た
笑っているとは少し違う、眉を垂れ下げ美しく綺麗に
目を離せば消えてしまうんじゃないくらいと思わせるほど儚い表情をしてる




「あんときの貸り
今、返して貰ってもいいか?」

『…うん』



「オレだけの光になってくれ」




轟くんの言葉に思わず耳を疑ってしまう

早鐘のように打つ鼓動を抑えられなくて
きっと私の顔は耳にかけて赤く染まっていると思う

音が消え無音になり、壮大な世界の中で私と彼の二人だけだと錯覚しそうになる










「ちょっと、アンタだれ?」

けれど私はすぐに現実に呼び戻される
気付けば先程轟くんを囲っていた女の子達に今度は私が囲まれていた
ものすごい形相でこちらを睨んでおり、その眼差しは害虫でも見るようだった


『わ、私は轟くんのクラスメイトで…』


「あ〜!!なるほどね!
勘違いしてるイタい奴ねぇ〜ハイハイ」

「絶対コイツ腹ん中真っ黒でしょ!
わかるわぁ、清楚系気取んなおつ」

「自分のこと過信しすぎじゃね
この性格ブース、焦凍くんに寄生すんな寄生虫」


冷や汗が喉元を伝う
言い返しちゃダメ、言われてるのは私なんだから…
轟くんから話を逸らせてるんだ

これでいい、と思いつつもしっかりとダメージを受けていた
相変わらず自分の心の脆さに呆れそうになる



何も言い返さない私を見て、つまらなく思ったのか女の子の一人が轟くんに詰め寄る


「焦凍くん、正直に言っていいんだよぉ
この女のストーカー行為に迷惑してますぅって」


『っ!』


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