第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒
「わぁ…今日も集まっとる…」
何度見ても慣れない状況にお茶子ちゃんが諦めたように呟く
教室前には普通科を始めた雄英生が蔓延っている。放課後になるとこうして私達A組の教室前にやってくることが多々あるのだ
ば…勝己くんが言うには体育祭に向けての敵情視察、らしいのだけど…
「コイツらが本当にヴィランの襲撃から逃れたのかよ?」
「A組傲慢そうだし、持ち上げられて調子に乗ってんだろ」
「ヒーロー気取りで腹立つわ」
心のない言葉は私達の耳に届く音量で言い放たれる
まるでわざと聞こえるように
『………っ』
みんながどれだけ命懸けだったかもしらないくせに
悔しくて、そう思われてることが悲しくて
気付いたら私は人の波に飛び込んでいた
『あのっ…どいてください』
無理やり体を押し付けるような形で人と人との隙間に入り込む
もみくちゃになりながらも足に力を入れて前に進んでいく
ここを超えたいと強く思った
超えて否定したかった
「ちょっと可愛いからって調子乗んなっ」
『…わ』
隣に立っていた子から肘が飛んでくる
咄嗟に腕を構えるけど、代わりに体制を崩してしまう。足が縺れ、倒れそうになったとき両肩を人の手によって支えられる
「 ひかりちゃんて、案外危なっかしいのな」
『上鳴くん!!』
「電気でいいって、一人で行こうとすんなって」
゛一人で゛
屈託のない上鳴くんの笑顔に気付かされる
みんなきっと同じ気持ち
そうみんながいるんだ、一人じゃない
『…うん』
上鳴くんの力を借りてなんとか人の波をかき分け
途中、切島くんが道を作ってくれてスムーズに進むことが出来た
『二人ともありがとう』
押しつぶされそうになっていた気持ちが元通りになっていた
私は精一杯の気持ちを込めて二人に頭を下げる
「顔上げろって、 秋月
クラスメイトなんだから困ってたら助けるのは当たり前だろ!」
「急に飛び出したのはビックリしたけどさー
なんかそういうとこ含めて更にカワイーと思っちゃったわ」
ボンッ
人混みの中から軽い爆発音がどよめきと混じって聞こえてくる
私は引かれるように目線を自分がさっき飲まれそうになった人集りへと戻す