第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒
教室前に辿り着き、きっちりとしまったドアに手をかける。横へスライドさせるともちろん教室には誰もおらず、カラッとした空気を全身で浴びる
最後に思い浮かべた顔は
やっぱり轟くんだった
あれだけ考えないようにしていたのに
気の抜けた私は彼のことを思うのに抵抗はなくなっていた
……轟くん帰っちゃった、よね
今走っても間に合うなんて通じない時間帯なのは窓から見える空の色で分かる
急に寂寥感に覆われそうになり
振り切るように足早に自分の席に行き、スクバに手を掛ける
゛…USJん後からオレに対する 秋月 の挙動に違和感を感じる゛
゛温かくて安心する
オレは好きだぞ 秋月の個性 ゛
私はスクバを胸の中に仕舞い込むように抱き締める
顔を埋めて、吐き出しそうになる想いを必死に堪える
……もう訳が分からないよ…
でも一つ言えるのは
私に安心を感じてくれて、私を安心させてくれる人をいま私は不安にさせている
この距離を手放したくない
轟くんの隣に立っていたい
今の私がそのままでいられるその場所に