第3章 𝔸𝕘𝕒𝕡𝕒𝕟𝕤𝕒𝕤𝕦
飯田くん格好いいなぁ…
きっと二人も同じことを思ったのか優しく微笑んでいた。その時無性に自分が票を緑谷くん入れたことを飯田くんに言いたくなった
『あのね、飯田く____』
「ヴヴヴーーーーーーーーー!!!」
金属を引っかくような警戒警報ブザーが食堂全体…いや学校全体に鳴り響く
「警報!?」
『どうして…?!』
「セキュリティ3が突破されました
生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい」
アナウンスをきっかけに食堂に集まっていた生徒全員が一斉に出口に向かって動き出した。私達は一瞬で人の波に飲まれ、もみくちゃになる
みんなパニックになってる…!
慌てるみんなの肩や肘がぶつかり、多少の痛みが走る
とうとう足が縺れ、バランスが崩れる
『…っあ』
けれど人の波より強い力に腕を引っ張られ
今度は体が勢いよく前へへと引き寄せられる
『ふゃむ!』
顔面を誰かの胸板に打ち付け、その人物を見ようと地味に痛む顔を上げていく
『ば、爆豪くん…!!』
そこには明らかに意想外な人物が立っていた
彼は掴んでいる私の腕を上に上げ、低く唸るような声で一言
「ちょっと面貸せや」
テレビで一度は耳にする不良のお決まり台詞に背筋がゾクッとした。それから大量の生徒を容赦なく退かし、前へと私を引っ張りながらズカズカ進んでいく
連れてこられたのは人気のない階段場
私の手を離し、単刀直入に聞いてくる
「…てめェ、何企んでやがんだァ…?」
壁に詰め寄られ、顔横に微量の火花がちらつく右手を置かれる
…企む?何を…?
息を呑むのと同時に彼が語彙を更に荒くさせ言う
「さっきのあのクソデクに票入れただろ…
この前もわざとぶつかってきやがって、気持ち悪ぃテンションで絡んで来んのも何か企んでんだろ?なァ、答えろや」
顔を寄せられ嘲笑した笑みを浴びせられる。私は反射的に顎を引き、目を瞑った
爆豪くんなんでこんなに怒ってるの…?
ギラリと光る目が私を睨む
「てめェのことァ胡散臭ぇとは思ってたけどよ、そういうことかよ
まさかオレに嫌がらせすることが目的だったとは思わなかったもんなァ」
私は反射的に口が開く
『ちがう!そんなつもりないし何か勘違いしてるよきっと…』
「じゃあどうゆうつもりだァ!?言ってみろや!」