第2章 ℍ𝕒𝕣𝕕𝕖𝕟𝕓𝕖𝕣𝕘𝕚𝕒
名門中の名門『国立雄英高等学校』
今までに多数のプロヒーローを排出しており、誰もが憧れる舞台_____
明後日から三年間そこに通うと思うと胃が痛くなる
私は背中にはリュック、左手には収納力抜群のボストンバッグ。首からはお金やスマホなどの貴重品が入ったポーチをぶら下げている。あまりの大荷物にすれ違う人の視線をたまに浴びる
入学二日前にこれはまずいと思いつつも
新住所をメモった紙を見ながら右へ左へと歩いてく
大きい家具などは引越し業者さんに事前に送ってもらっていてあとは私が到着すればいいだけ
なのに、早速迷子になってしまった…
スマホのマップは方向音痴の私が解読出来るはずなくて…最終的には交番に向かうことにした
『…見覚えはあるんだけどなぁ』
体の向きを変え来た道を辿っていく
自分でどうにかしなきゃとは思いつつ
啓悟くんがいたら、なんて思ってしまう自分が情けない
でも、もし彼がこんな状況の私を見たら…
゛迷子って…子供じゃあるまいんだし
ほんと ひかりちゃんはオレがいないとダメだよね゛
そう、いじりながらもなんだかんだ助けてくれるだろう
…ダメダメダメダメ!!!ここには啓悟くんはいないし!!
邪念を振り切るように首を左右に振る
それだけでは振り切れなくて止めていた足を進めようとしたとき
「信号赤ですよ」
背後から声がかかり、ハッとする
危うく信号無視してしまうところだった
私は声をかけてくれた男性に振り向き頭を深く下げた
『あ、あのボーっとしてました、ありがとうございます!』
……情けなさすぎる……
「ここの人じゃないですよね?」
『はい…だから迷いっぱなしです
交番ってここ真っ直ぐ行ったらありますよね?』
「えぇ、二分もかからないかと……確か」
信号が青に変わったのを合図に会話は自然と途切れた
私はお礼を言いニッコリとしてる男の人見上げた…不安だったけど、こうしてやさしい人も周りにいるもんなんだなぁ
「………こんな可愛いと良心痛むねぇ」
『?』
「いやなんでもないです、これ以上何事もなく辿り着けるといいですね」
これ以上??
意味ありげな言葉に引っ掛かりつつももう一度頭を下げた
同じ方向を歩いていたからてっきり渡るものと思っていたが男性は私とは逆方向に踏み出した