第9章 𝕎𝕒𝕥𝕖𝕣 ℍ𝕪𝕒𝕔𝕚𝕟𝕥𝕙
《 ひかりside》
いつかのイキシアの花
私にも咲けばいいって思ってた
好きだって、初めて言ってくれた
轟くんの好きがこんなに嬉しいものだと思わなかった。一つ一つの言葉が嬉しくて、どうしようもない気持ちが溢れて涙へと変換される。
『………わたしっ…』
顔に添えられている手に、自分の手を重ねる
取ってしまってもいいのだろうか
『轟くんが…好きです』
その手を取ってギュッと結ぶ。
ハッとした表情から轟くんはしばらく固まったままだった。少し不安になって声を掛けてみると
「…っいや… 秋月 が好きって、言ったの初めてだったから…ビビった」
顔が首のあたりまで真っ赤で、手元で口元を覆ってるけど隠して切れていない
初めて……わたし轟くんから言って貰えることばかり気にしてて、てっきり伝えたつもりになってた
滲んでボヤけた視界に飛び込んだ轟くんはとっても格好良かった。
あぁそうかたった今…咲いたんだ
私、轟くんを好きになったんだ
『…私轟くんになにかあったら必ず力になりたいって思ってる』
「 秋月 ?」
『…例え隣にいるのが私じゃなくても』
彼の顔色がサッと変わった。何かを察したのかもしれない。繋いでる手を離して抜く。
『轟くんが好きだよ
…それでも私は轟くんを選ぶ資格ない』
私の気持ちなんてもうどうでもいい
最初から咲く前に戻せばいい
蕾がまた生まれないように
枯れて
私への轟くんの気持ちが消えてなくなるまで
「 ひかり」
指先が震えてドクンと鼓動が波打つ。気持ちが揺れたことに気づかれたくなくて必死に堪える。
「選ばせたのはオレだから、 ひかりがそう決めたならそれでも構わねぇ…
けどオレも好きにやるから」
不意な言葉にえ、と声が漏れてしまう。顔を上げたときには遅くて両手で頬全体を包まれる。寄ってくる顔から背けることを許されない。私の心も拒みきれてない
「…手放せるわけねぇだろ」
心ごと唇を呑まれそうになったときだった。その声に呼び戻される。私のもう一輪の"花"に
「 ひかりちゃんー? 」