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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第7章 𝔸𝕟𝕖𝕞𝕠𝕟𝕖





「___ヴィランの襲撃を受けたにも拘らず
鋼の精神で乗り越えた奇蹟の新星!!!」






「一年!!!A組だろぉぉ!!?」


どこ見ても人、人、人しかいない!!!!
頭が目まぐるしく回って今にも倒れてしまいそうで東西南北からの慣れない歓声を浴び続けるのは心臓に悪い

会場には何台もの大型カメラが設置されていて、分厚そうなレンズが私達を捉える
…あそこから啓悟くんがみるんだよね!

全クラスの入場が終わり、主審のミッドナイト先生が登壇する
「選手代表!!1ーA 爆豪勝己!!」


え、選手宣誓だよね…?
隣にいた緑谷くんと、聞き間違いかと思わず目を合わせる


「え〜〜かっちゃんなの!?」

「あいつ一応入試一位通過だったからな」

瀬呂くんも意外そうに教えてくれて、あとでこのことで勝己くんをいじってやろうなんて考えちゃう
手をポケットに突っ込み、丸めた姿勢で壇上に上がると覇気が感じられない声で言う

「せんせー」

気の所為、だと思う
ほんの一瞬彼の視線が私に据えられる

火花のような一瞬だったのに、その僅かな時間だけで大きな感情をぶつけられたような気分だった

……なんか落ち着かない


「オレが一位になる」


静まり返る会場、そして波荒れるように他クラスから罵倒が飛び交う。みんなは驚いていたり呆れている様子だったけれど私はなんだか嬉しかった。

壇上から降りてきた勝己くんがこちらへ戻ってくる

いつだって本気で、必ずやるといったことを成し遂げてみせる彼のそういうところを私は限りなく好きだ

その顰めっ面に右手でピースをつくって前に出す


『かっこいいと思うけど…
あんまり敵作らないでね、心配するから』


スルーされると思っていたが勝己くんは私の前で立ち止まり、作ったピースサインの人差し指と中指を左手でギュッと握る

『?』

「…オレが一位になんのはこれだけじゃねぇ」

閉じ込められた自分の指に気を取られていると
彼の右手が私の後頭部へと伸びてきて、ガッと掴まれ前に引き寄せられる

勝己くんといると不思議な気持ちになる
轟くんとも、啓悟くんとも違う

安心とは違うなにか


「 ひかり」


「てめェの中でもオレは常に上に行く」


どちらともなく吸い込まれるようにして彼の唇と私の唇は衝突する
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