第7章 𝔸𝕟𝕖𝕞𝕠𝕟𝕖
好き、か…
もし轟くんが言ってくれたらなんて一瞬思っちゃった
「……」
「あららー見事になんもない部屋だね」
啓悟くんはキョロキョロ遠慮なくを見回して、勝手にクローゼットを開けたりしてる
慌てて啓悟くんの前に入り込んで止めさせる
『ちょ!なにやってんの!勝手にみないで!』
「男物の下着とか置いてないか確認しただけですぅー」
『は、はぁ?あるわけ無いじゃん!』
自然と顔が赤くなる私を見て啓悟くんはおかしそうに吹き出して声を上げて笑う
……もう機嫌がいいのか悪いのか
『お茶出すからその辺に座ってて!』
そう言ってベッドの下に置かれた水色のチューリップの形をしたクッション座布団を指差す
「はいはーい」と二つ返事をした啓悟くんは「あ、」と言って声を張り上げ言う
「そういえばここに来る前にドーナツ買ってきたんだよね、 ひかりちゃん好きでしょ」
『甘いもの全般好きだもん〜』
冷蔵庫開けて中身を確認すると全くといっていいほど何もなくて、卵、ヨーグルト、牛乳、ジュース類…プリン
一体今までどうやって生活してきたんだろ私
『お茶ないからオレンジジュースでもいいー??』
「よかよーどうせ ひかりちゃんのことだから冷蔵庫の中身ろくに入ってないでしょ」
高らかに笑う彼を無視してコップにジュースをつぐ
相変わらずなんでもお見通しで悔しい…
『子供扱いされてるみたいで…あっ』
なんかこの感じ…
すごく
似てる
『…っと!危な…』
トレイに乗せて溢れないように慎重に歩く
円形の小型テーブルにはいったとおりミスドの箱があってドーナツがぎっしり詰まってる
啓悟くんが腰下ろしてるのとは色違いのピンククッションに座り込む
『これほんとに食べていいの??』
「んーいいって、あ、まってオレの分もあるからね?」
『そこまで食い意地張ってないしわかってるよ』
啓悟くんは仏頂面でスマホとにらめっこしてて
なんかトラブルでも起ったのかな…
まぁ、待ってあげないけどね
私は彼お構いなしに箱からポンデリングを取り出し頬張る
さっきクレープ食べたばかりなのに胃はドーナツの侵入を許可してくれる
…あんなに気分落ち込んでたのに