第6章 𝔽𝕠𝕦𝕣 𝕠'𝕔𝕝𝕠𝕔𝕜
掴まれている肩に勝己くんの指が食い込む
痛くて顔が歪むけど、なぜかその痛みがいまは必要で
…おかげで
「…鬱陶しいから泣いたらぶっ飛ばす」
自分が泣きそうになってることに気づく
思わず勝己くんの胸元のシャツをくしゃっと握り締める
『怖いっ…わたし前に…進めない』
『わたしが…進ませてくれない…』
「じゃあ進むな」
ボソッとした乾いた声が私の耳元に響き、髪に柔らかな感触が落ちる。声を上げてもが勝己くんは気にする様子なく私の髪に愛情を注ぐような長いキスを落とす
「戻んのも許さねぇ…」
それじゃあ進めない
私の言わんとすることがわかったように勝己くんは私の顔を上げさせる
首にかかっている髪を器用にどかし
勝己くんは唇を通り過ぎて、首の付け根あたりに唇を落とす
密着した体から勝己くんの匂いに包まれたような気分になる
『…いっ』
付け根から激痛が走り、出血してるんじゃないかってくらい痛くて歯を食いしばる
数秒その状態が続いたあと彼が顔を起こす、勝己くんが噛みついたそこは立派な噛み跡ができていた
『勝己…くんっ』
「お前はここにいりゃあいいんだよ
どこにも行く必要なんかねぇわ」
今度は両手で、もう一度強く私を抱きしめたあとバッと体を離し教室とは反対方向へ行ってしまう
しばらくその場から足が離れようとしなかった
「ねぇ 秋月 」
何分立ち尽くしていたことだろうか
声の方に顔を向けるとそこに立っていたのは三奈ちゃんだった
その顔から察するに
『…聞いてたの?』
「うん、聞いてたし全部見てた」
言いにくそうにしてる三奈ちゃんの顔を曇っててなんとなく言わんとすることがわかる
「私はさ…轟を応援出来ない」
目の前が真っ白になりそうになるのをなんとか保たせるけど、三奈ちゃんの顔が二重三重に見えてくる
…何も聞こえない
「余計なお世話かもしんないけど
爆豪はさ、不器用だけどしっかり 秋月 のこと想ってるってのが伝わってくる…!」
「 秋月 はさこのままでいいの…?」