第27章 【Summer Nude】
ハプニング雷の翌週の水曜、
いつものように髙橋くんの教室に向かっとったら
後方から声をかけられた。
「あっ!廉じゃん!れーーん!」
その声に反応して振り向くと、
先月引退したサッカー部の志尊先輩が
周囲に注目されながら俺に近づいてくる。
「あっ…ちわっす!」
「相変わらず軽いねー!一応先輩よ?オレ 笑」
「んははっ!そーでした 笑」
「…え?てか廉って理ハイなん?やるじゃん!」
俺が入ろうとしとる髙橋くんの教室を指差す
志尊先輩。
「あー…ここは友だちのクラスで。俺、文系っす。
今から友だちに数学教えてもらう予定で…」
「…へぇー…ねぇ、友だちって…男?女?」
「どっちでもいいじゃないっすか!
ほら、先輩友だち持たせてますよ!
行かなくていいんすか?」
先輩の体を友だちの方に向け押し返そうとしとるのに
“俺の友だち”に興味あるらしい先輩は
しつこく教室を覗こうとしとる。
先輩はいい人やし、気さくで話しやすいし、中性的な
顔のくせに性格は頼りがいあって面倒見もよかったり
するんやけど…結構、奔放な先輩で。
好きなタイプがないばかりか、噂によると恋愛対象も
男女問わんらしい…。先輩のことは好きやけど、
そんな危険人物に髙橋くんを会わせるわけには
いかんくない?
やから俺は必死に先輩のこと押し出そうとしとんのに
俺より少しだけ背が高くて、男らしい骨格の先輩は
びくともせんくて。そうこうしとるうちに廊下に出て
きた髙橋君と鉢合わせちゃったもんやから、話しかけ
るなよオーラを全面に出しつつ視線を逸らした。
のに。
普段は俺と廊下で会っても軽く会釈しかせんくせに
このあと勉強会っちゅう大義名分があるからか、
自分のクラスやからリラックスしとったからか、
俺の思いとは裏腹に話しかけてきた髙橋君。
「あっ、永瀬くん今日はちょっと、早いね?
まだみんなも教室に残ってるし、僕帰りの準備
まだだからそれだけ済ませてからでもいい?」
「……おん、勿論ええけど…」
そんなことより俺がいま気になるのは俺の後ろから
刺さっとる志尊先輩の視線―――
「えーー!可愛い!!何なに、廉の友だち
めっちゃ可愛いじゃーーん!紹介してよ!!」
「…すみません!いくら先輩の頼みとはいえ
それは無理っす!!」