第9章 柱稽古……とは?そして…
無限城――。
落下した飛羽は、複雑に入り組んだ城内を駆け抜けていた。
「実弥……どこにいるの……!」
その時、遠くから激しい戦闘音が響く。
「……玄弥!?」
音を頼りに進んだ先で、飛羽が見たのは――玄弥と対峙する、圧倒的な存在感を放つ鬼。
六つの目。
月のような模様を持つ刀。
「……黒死牟」
飛羽の背筋が凍る。
「飛羽さん!?」
玄弥が驚く。
「何でここに……!」
「話は後! 玄弥、下がって!」
黒死牟が静かに刀を構える。
「……新たな剣士か」
次の瞬間、斬撃が飛ぶ。
「酒の呼吸――!」
飛羽が刀を振るい、斬撃を弾く。
しかし――重い。
「ぐっ……!」
一撃受けるだけで身体が大きく吹き飛ばされる。
「飛羽さん!」
「大丈夫! 玄弥は自分の戦いに集中して!」
飛羽は血を拭い、再び立ち上がる。
実弥が来るまで――。
それだけを胸に、黒死牟の前へ立ちはだかった。
黒死牟の攻撃は凄まじかった。
斬撃を避けても、次の一撃が迫る。
飛羽は必死に刀を振るい、玄弥へ向かう攻撃を一つずつ防いでいく。
「……しつこい娘だ」
「そう簡単に……弟分をやらせるわけにはいかないんだよ!」
飛羽が踏み込む。
「酒の呼吸――!」
だが、黒死牟の刃が飛羽の脇腹を掠めた。
「ぐっ……!」
血が噴き出す。
それでも飛羽は倒れない。
「飛和さん、もう無理だ!」
「まだ……!」
膝が震える。
息が苦しい。
刀を握る手も、とうに限界だった。
それでも――。
「実弥が来るまで……絶対に持たせる……!」
その瞬間、黒死牟が静かに刀を振り上げる。
飛羽は残った力を振り絞り、玄弥の前へ立った。
――その刃が迫った時。
遠くから、聞き慣れた怒号が響く。
「飛羽!!」
「……実弥……!」
飛羽の顔に、ほんの少しだけ笑みが浮かんだ。
しかし――黒死牟の視線が、ゆっくりと声の方向へ向けられる。
ついに、風柱・不死川実弥が戦場へ到着した。