第5章 遊郭潜入!
「――今だ!」
飛羽の声と同時に、全員が一斉に踏み込んだ。
宇髄が妓夫太郎の攻撃を受け止め、炭治郎が堕姫へ迫る。伊之助が帯を押さえ、善逸が眠ったまま雷のように駆け抜ける。
そして――。
「うおおおおッ!」
飛羽は最後の力を振り絞った。
二本の刃が、それぞれの首へ迫る。
「兄ちゃん――!」
「梅!」
兄妹の叫び声が重なった。
――ズバッ!
二つの首が、同時に宙を舞った。
「……やった……」
飛羽は刀を支えにして立っていた。
しかし、身体に力が入らない。
「……あれ?」
膝から崩れ落ちる。
「飛羽さん!」
炭治郎が駆け寄った。
「毒だ……!」
飛羽の視界が暗くなる。
「……ごめん、実弥……」
* * *
その後、禰豆子の血鬼術によって毒を焼き消してもらい、飛羽たちは何とか一命を取り留めた。
そして――。
蝶屋敷。
「……ん」
目を覚ました飛羽は、見慣れた天井を見上げた。
「ここ……蝶屋敷?」
「そうだよ」
アオイの声がする。
「しばらく安静にしててね」
「……はい」
その直後。
ガラッ!!
「飛羽!!」
障子が勢いよく開いた。
「……実弥」
そこには、腕を組んだ実弥が立っていた。
「テメェはァ……!」
「……」
「刀も持たずに勝手に動くわ、上弦相手に一人で突っ込むわ、挙げ句の果てに毒喰らってぶっ倒れるわァ!!」
「……ごめんなさい」
「謝って済むと思ってんのかァ!?」
実弥の怒鳴り声が蝶屋敷中に響き渡る。
「テメェが死んでたら、どうするつもりだったんだァ!!」
「……みんなを助けたかったから」
「だからってテメェまで死にかけてどうすんだ!!」
実弥は拳を握り締める。
「無茶すんのも大概にしろォ! 俺が何のために稽古つけてきたと思ってやがる!!」
飛羽は俯いた。
「……はい」
「返事だけはいいんだよなァ……!」
怒鳴りながらも、実弥の目は飛羽の傷を何度も確認していた。
「……二度と勝手に死にかけるんじゃねェぞ」
「……うん」
「『うん』じゃねェ。『はい』だァ!」
「はい!!」
蝶屋敷に、実弥の怒声が再び響き渡った。