第10章 知らない女の子と五条くん
硝子は同い年であるにも関わらず達観していて、この場で一番の冷静さを見せた。
反対に狼狽える私は核爆弾をまたしても溢しそうで何も言えない。
五条くんは不本意そうに口を尖らせて、ぽそりと言葉を漏らした。
「寧々、俺は…自分がカッコいいって事は分かってるんだよね。でも寧々以外にカッコいいなんて思ってもらわなくていい」
「五条く「寧々だけに伝わればいい。他のやつらなんて…」
過去の私なら…なんてナルシストなんでしょう、と返していたでしょうね。
だけれども……
五条くんという存在はそんな薄っぺらいものじゃないと知り得た今は。
「五条くんの対応に文句を付ける気はないわ。堂々としていられない私にだって非はあるもの」
隠そうとして、隠しきれなくて。
切り札だとか後ろ盾だとか、打算じゃなくて。
偽りじゃない、本当の気持ちを抱えて、
五条くんに真っ向から向き合わない私だって
とても、とても弱い。
「寧々、五条、なんかいい雰囲気のとこ悪いけどさ…」