第10章 知らない女の子と五条くん
でも、まだ今じゃない…心の中で警鐘を鳴らす。
忌々しい水無月家への復讐の為の…っ、
「…っ、うざいとは思わなくなった」
硝子の言葉を少しだけ引用して濁した。
「そう。五条と絡んでる時の寧々も、うざって顔はしなくなったよね。寧々にとって楽しい思い出になるなら、それでいいんだけど」
「楽しい思い出」ね。
今もその思い出の一つよ、なんて気の利いたことを返せたら良かったのでしょうね。
私はどうも、相手を喜ばせる言葉がよく分からない。
自分から積極的に行動を起こすタイプでもないから、ご飯や遊びに誘ってくれる硝子や歌姫先輩のような存在にはなれない。
「ちなみに私は五条のこと、なんっとも思ってないから!ついでに夏油も。あんなクズ、誰が好きになるかよ」
「クズって…」
「でもさ、寧々が誰かを好きになったら応援したいって思ってる。てか、応援させてよ。あいつらと違って寧々はクズじゃないんだから」
「硝子…」
「恋をしたら人って変わっていくんだよ。まぁ…寧々がこんなドエロい下着着けるようになったら、ちょっとはびっくりするかもね」