第8章 違う人と任務
「ワ、ワンチャン…傑が持ってる方が本物なんじゃね?」
「これはどう見てもプラスチックだよ。悟、どう落とし前つけるんだい?」
「あ、あー…分かった、どっちも偽物ってパターンな。よくあるよくある!」
助けに来たつもりのヒーローが、まさかの波乱を呼び起こした。
「!?」
暗かったフロアが先々まで見通せるように明るくなる。
「えっ…!?」
とんでもなくご迷惑なヒーローは、本当の本当に波乱を呼び起こした。
「水が上がってくる…!?」
どこからともなく大小の波が押し寄せ、足元から水かさが増す。
「俺が壊したからかよ…!?」
「絶対にそう」「それしかないわ」
気絶していた2人ですら、事の重大さに気づき我先にと逃げ出した。
「クソ呪術師共はそこで死ね!」
「お前ら…!」
一つしかないエレベーターに乗り込むと、私達を置き去りにして上の階へと……
「あ?なんだってんだよ!?動かねぇ!?」
まるで波が意思を持ったように
「ぐわっ!?なんで水が押し入ってくるんだよ!?ぐふっ…!ぐっ…!!!…っぅぅ、」
エレベーターの扉のほんの僅かな隙間をこじ開けるように、水が流れ込んだ。