第7章 夏休みといえば
「寧々、大人しく待ってろよ。知らない人についていくんじゃねぇぞ」
「中身小学生の人に言われたくないのだけど」
そんな…昨今は幼稚園児ですら、弁えているようなことをわざわざ高専生の私に忠告して
「んじゃ、行ってくるわ」
五条くんは人が溢れる祭り会場へと消えていった。
それを1人ポツンと見送って、もらったカルピスを落ち着いて飲みながら辺りを見渡す。
夏祭りのメインイベントである花火大会までは、まだ時間がある。
子供連れ、カップル、友達グループ…それぞれが思い思いに時間を過ごしていた。
誰も彼もが楽しそうに、屋台で買ったものを食べながら笑い合っていた。
五条くん以上に食べ物を買い込んだ人は見つけられなかったけど。
それから私達以外にも浴衣や甚兵衛で来ている人は沢山いて、ますます夏祭り特有の雰囲気を肌で感じた。
五条くんが隣を離れて初めて気付く、1人の寂しさ。
最初から1人だったらこんな気持ちにはならないんだろうな…と思うと、惨めにもならず、五条くんがお詫びの甘いものを買って戻ってくるのを楽しみに待った。
「おっ、可愛い子発見〜」