第8章 因果呪縛を解く
「理子様っ、理子様……!」
自分が代わってやれるのなら、代わりたかった。
でもそれは決してできないことで……
あの弾けるような笑顔も、少々お転婆な仕草も、溌剌とした声も、
もう見ることも聞くこともできない。
永遠に失われてしまうと思うと涙が止まらなかった。
「黒井!!」
「……!」
聞こえた声にハッと顔を上げると、先に進んでいったはずの天内がこちらに駆けてくる。
最初は自分の願望が見せる錯覚かと思ったが、近づいてくる足音も息遣いも現実だと訴えている。
黒井の目の前まで来た天内は止まることなく抱きついてきた。
「理子様、どうして……!」
「私、やっぱりもっと皆と一緒にいたい。もっと色んな所へ行って、もっと色んなものを見たい」
ああ、やっぱり、
ずっと我慢させていたのだ。
生まれたときから星漿体としての使命を背負って、ずっと周りに言えず、最後の最後まで我慢し続けていたのだ。
ずっと願いを言わせてやれなかった申し訳なさと切なる願いを打ち明けてくれた嬉しさがない混ぜになって、黒井は天内を抱き返し、ぎゅっと抱きしめていた。
「はい……!もっとたくさん色々な場所へ行きましょう、色々なものを見て、色々なものを食べて。これまでできなかったことをたくさんやりましょう……!」
奥からゆっくりと歩いてきた夏油も2人の姿に柔らかな表情を浮かべている。
「さあ、黒井さん、理子ちゃん、早く悟と合流しましょう。今はここから離れないと」
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