第8章 因果呪縛を解く
その更に下層、薨星宮のエレベーターを降りた先には天内を見送った黒井が嗚咽を漏らしていた。
星漿体の付き人としてこの日まで天内を守り育て、役目を果たした。
しかし、達成感や満足感などどこにもなく、ただただ深い悲しみに立ち尽くし、涙を流していた。
―黒井、大好きだよ……!―
最後の言葉が耳の奥でこだまして止まない。
彼女が幼い頃からずっと傍にいた。
別れの時が来ることも覚悟していた。
でも、
だからこそ、
思わずにはいられない。
“もっとたくさんの思い出を作りたかった”
最後の最後、沖縄の海で遊んではしゃいで爛漫と笑う少女らしい姿が脳裏から離れない。
彼女はまだ14歳なのだ。
たった14年しか生きていない。
人としてもっと長く未来を過ごすことができたら、まだ見ぬ友人もできただろうし、恋人だってできたかもしれない。
そうして、大人になっていって……
星漿体の付き人としてあるまじき思いかもしれないが、それでもどうして彼女にはそれが許されなかったのか、どうして彼女が星漿体なのかと何度も何度も心中に問いかけた。
「理子様っ、理子様……!」
自分が代わってやれるのなら、代わりたかった。
でもそれは決してできないことで……