第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「ひなた、お寺に行く人達が無事に参拝できるように、見守りに行こう! 」
杏寿郎が明るく言ったので、ひなたも頷いた。
どこまでも優しい人…尊敬もしてる。それ以上に師範はひなたの心をいつも揺さぶる…。
杏寿郎は灯りでライトアップされているお寺の方へ歩きながら、杏寿郎をチラチラと見ている青年に声をかけた。
「いい夜だな!俺は昨日から観光でこの近くに来たが、今夜は何かあっているのか?祭りならぜひ俺も参加させていただきたい」
サッパリと明るく、嘘を交える師範に、ひなたはクスッと笑ってしまった。
青年は初め、煉獄さんの見た目が派手だから驚いていたけど、観光客には丁寧に教えてあげないといけないと思ったのか、立ち止まって話してくれた。
「そうさ。今夜は年に一回の大照寺の宵闇祭りの日なんだ。この日に、大切な物をあげて祈願すると叶うから、みんな起きて行ってる」
「大切な物とは、何だ? 」
師範が尋ねると
「何でも良いよ。自分の持っている物とかな。俺の家では毎年、母ちゃんが作った饅頭って決まってるしな」
青年は、振り向くと、後ろからお喋りしながら歩いて来るご婦人達に声をかけてた。
「母ちゃん!この人らが、祈願したいんだって!饅頭を分けてやってくれ」
ご婦人の中にいた小柄な女性が近くに来ると、背の高い煉獄さんを見て驚いていた。
「まあ!男前な人だねぇ!いいよ、沢山あるから持って行って、お参りしておいで」
杏寿郎の横にいるひなたを見て、朗らかな人の良さそうな笑顔を向けてくれた。
「お嬢ちゃんも、ほら。幾つか持っておいきよ。お饅頭をお供えして、健康とか家内安全をお願いするんだよ」
ひなたはお礼を行って、ハンカチでお饅頭を包んだ。ふっくらとしたお饅頭は大きめで、とってもおいしそうにできている。
「美味しそう!お願いは、何でも良いんですか? 」
ワクワクして聞いてみる。ひなたが願いたい事、ちゃんとあるのだ。
「そうだねぇ。縁結びも大丈夫だよ。お嬢ちゃんはお年頃だもんね」
「えへへ」
ひなたは笑ってごまかした。杏寿郎がこちらを見ている。
「お仕事の事をお願いしようかな! 」
なんて、言ってしまう。