第2章 華麗なる危険な時代
「さて、そろそろ行くとするか! 」
山吹色の着物に合わせて、墨色の袴の紐を絞めた。いよいよ迎えた今日の日。藤襲山で行われる最終選別の日である。
太陽が1番高い所に登った頃に集合だ。時間に余裕を持ち選別の地に着くには、そろそろ家を出なければならない。
いつも鍛錬で使っている刀を手にする。雨の日も風の日も、例え嵐の中でも…この日のための鍛錬を重ねてきた。
部屋を出て仏間へと向かう。襖を開けると、シン…と静まる部屋の空気に背筋が伸びる。仏壇の前に座りご先祖様と母に一礼した。
「母上、杏寿郎は今から、藤襲山にて行われる鬼殺隊の最終選別へと行って参ります。杏寿郎は今年十四になりました。今日まで見守ってくださり、ありがとうございます。立派に働いて参ります。どうかご心配なさらないでください。
それでは行って参ります! 」
仏壇の中の、母の位牌に深々と頭を垂れた。そうするとなんだか、母を近くに感じる。懐かしい母が正座をして、自分の言葉を聞いてくれているような気がするのだ。
仏壇に供えられた美しい百合の花に微笑んだ。
藤襲山での最終選別で闘い抜き、母上の元に元気な姿で報告する。杏寿郎は部屋を後にした。
続いて父の部屋へと向かう。今朝、朝餉の時に父とは顔を合わせたが、父からは特別な言葉はなかった。父は今日が最終選別の日だということは知っているようだったが…。
父の部屋の前に立ち、軽く深呼吸した。