第2章 新たな生活
昼休みになると、が軽い足取りで7組の教室を訪れた。
扉を開けるなり、ぱっと顔を明るくして声を張る。
「花道ー!お昼一緒に…あれ…?花道いない…」
背伸びしながら教室を見渡すが、大柄な背はどこにも見えない。
洋「おー 。花道は今いないぞ」
「どこ行ったの??」
雄「今は体育館にいるんだ!」
「体育館?」
忠「バスケットしにな」
「バスケ!?あんなにその単語を嫌がってたのに!?」
高「記念すべき51人目になりそうな子とな」
ぴたり、との動きが止まる。
そして次の瞬間、は高宮の胸ぐらを掴み、ぐわんぐわんと容赦なく揺さぶった。
「51人目!?花道に好きな人ができたってこと!?」
高「あぁ!あぁ!」
雄「ま、そんなとこだな!」
忠「一目惚れってやつだぜ」
洋「お前ら、の気持ちも少しは考えろよな」
洋平の言葉に、がふっと表情を緩めた。
「洋平心配してくれてるの?優しいね」
そう言って、当たり前のように水戸の頭を撫でる。
その無自覚な仕草に、洋平は目をそらす間もなく頬を赤くした。
洋「…」
誰もその変化に気づかない。
ただ彼だけが静かに動揺を抱えたまま立ち尽くす。
「でも大丈夫!だって花道が50人に振られてるってことは、私も50回振られてるってことだよ?たった1回増えたところでへっちゃらだよ!」
明るく笑って見せる声はいつも通り――
だが洋平には分かった。ほんの一瞬、雄二や忠一郎の「好きな子ができた」と話す時に見せた、あの寂しげな陰が、の瞳にかすかによぎったことを。
高「じゃあは記念すべき51回目の失恋!?」
雄「花道より先に記録更新!?」
忠「ダハハハ!」
「あんたらぶっ飛ばされたいの!?最後には私が花道を手に入れるんだから!結果良ければ全てよし!」
威勢のいい声が響き、教室の空気がぱっと明るくなる。
だがその背中を見つめながら、洋平は一人だけ静かに思った。
洋「…」
洋(花道…お前は本当に罪なやつだよ)