第5章 陵南戦
だが――
仙道は、そのすべてを上回った。
高く跳ぶ影。
伸びる腕。
静かに沈み、鮮やかに決まるゴール。
そして、無情な現実。
湘北 逆転負け。
「あぁ…」
膝が震え、声が消える。
あまりに悔しい結末に、胸が焼けつくようだった。
そのとき――
花道だけは負けを認められず、必死に声を張り上げていた。。
「花道…」
限界まで頑張った背中を見て、胸が痛んだ。
赤「整列だ」
赤木は花道に声をかけた。
花「ちょっと待てぃ!パス!へっ…へへ…なんかあと5秒あるらしいぞ…!実は!パス!」
花道はそれでも走ろうとして――
「くっ…」
目を逸らした瞬間、涙がポロポロと頬を伝い落ちた。
花道がどれほど必死だったか、誰より知っているから。
花道は赤木を振り切って走り、しかし足元がもつれて転倒した。
体育館シューズが片方、ぽつんとコートに転がる。
酷使されたその靴は、もうボロボロだった。
「花道…」
はそのシューズをすぐ拾い上げ、花道に駆け寄った。
指先が震え、胸の奥が締めつけられるように痛む。
――負けた悔しさではなく。
――花道のひたむきさが、あまりにも輝いて見えたから。