第5章 本当の入学初日
そして、次は緑谷の番だ。
一心、爆豪、飯田、レーザー少年とフワフワ少女という順番に並び緑谷を見守る。
「緑谷君はこのままだとまずいぞ…」
「ったりめぇだ!!無個性の雑魚だぞ!!」
「………。…………。それ本当か爆豪」
一心の言葉に空気が変わったような気がした。
「…嘘つくわけねぇだろ」
(………無個性……でも飯田の話には……
やっぱりそうなのか…?緑谷はワンフォーオールを受け継いだ……けれど……もしかして……
…まだ……使いこなせてない?!)
ドクンドクンッと心臓が早くなり飯田が爆豪に何か言っているが、耳に入ってこなかった。
「……ハッ!!」
投げようとしている緑谷の右腕全体が赤く輝いていた。
(俺は勘違いしてた。飯田の話を聞いて見るに堪えないという言葉を聞いた。
ただ俺の想像は甘かった。甘すぎた。
俺とは負担が違いすぎるんじゃないか……!?
だからあんな…あんな……!!)
『僕の事……君に見てて欲しいんだ』
(覚悟を決めた目で俺にそういったんじゃないのか?!?!
相当痛いんじゃないのかそれは……?!)
「ダメだ!!!!」
一心は叫んだが、既に球は放たれていた。
ピピッ
「46m」
「「………?!?!」」
生徒の皆はどうしたどうしたとザワついている。
「言葉君大丈夫か?」
「あ……あぁ」
飯田の言葉に辛うじて返事をし、いつの間にか頬を伝っていた汗を拭った。緑谷が絶望した顔で両手を見ている。
こんな事出来る人物は一人しかいない。
(イレイザーヘッドの個性だ…助かった…)
「つくづくあの入試は合理性に欠くよお前のような奴も入学出来てしまう」
緑谷もやっとそのヒーローの正体に気が付いたようだ。
「抹消ヒーローイレイザーヘッド!!」
生徒同士がヒソヒソ知らないとかあんまり聞かないだとかと話しているが無理もない。世間一般ではあまり有名では無いからだ。ヒーロー同士の中では有名だ。
緑谷はガミガミと説教をされたのち個性を返される。
(緑谷…どうするつもりなんだろ…
相澤先生…あの感じ除籍処分を下す気満々だな…緑谷の行動次第な気がする…)
ブツブツブツブツブツブツブツと独り言を繰り返す緑谷
俺が言えるのは……
ドクンッドクンッと心臓が高鳴る