第6章 モブリット ヤキモチ
キルシュ・カスタ 17歳
戦死の報告に行ったアンナはその小さな村でキルシュは愛されて育った事を知った
小柄で童顔なアンナは22歳には見えないし ましてや副兵士長…調査兵団のナンバー3とは信じてもらえなかった
「戦死の報告は上官がくるもんだろ!あんたみたいな小娘が…小さな村出身だと調査兵団は馬鹿にしてるのかい!」
「帰れ!」
「帰れ!」
キルシュの両親から突き飛ばされ
キルシュの元恋人からは殴られ
キルシュが世話をしていた子供達からは石を投げられた
体についた泥は突き飛ばされたから
鼻血は殴られたから
体の痣は石を投げられたから
アンナが持っていったキルシュの遺品は直接は受け取ってもらえず そっと玄関に置いた
涙はキルシュがテラスで仲間とお喋りをしているのを見た事があるアンナは自己満足にしかならない弔いしか出来ない事が情けなかったから
移動の疲れと泣き疲れでアンナはテラスでそのまま寝てしまった
それをリヴァイが発見してアンナを自室に運び……
途中で寝苦しくて起きたアンナはブラウスのボタンを外し ズボンを脱いでそのまま寝てしまった
アンナが昨日あった事をポツリポツリと話ながらゆっくりと朝食を食べていた
アンナの話を隣で紅茶を飲みながら聞いていたモブリットがアンナをじっと見る
「アンナ…口の中切ってる?後で医務室に行こうか…」
「うん…」
「上手い殴られ方もできただろ 馬鹿正直にしっかり殴られてきやがって」
しゅんとするアンナの頭をモブリットは撫でる
「頑張ったんだよね…真っ直ぐなアンナなりにね」
モブリットの温かな手と優しい言葉と笑顔を向けられ アンナはまた猫のように目を細めている
「お前は甘やかし過ぎなんだよ」
「アンナが甘えられる人は限られているからね…だからついね」
そう言いながらモブリットは苦笑いをした
リヴァイもアンナには甘いくせに…
「リヴァイもありがとう アンナを見つけてくれて あのままテラスで寝てたら また泣いていただろうからね」