第47章 水柱・冨岡義勇
二十分後 ——
杏寿郎と義勇はまだ戦い続けている。杏寿郎が攻めれば義勇が回避し、義勇が攻めれば杏寿郎が回避してまた攻撃に転じる…と言った流れだ。
「壱ノ型 ——不知火」
「玖ノ型——水流飛沫・乱」
「(また躱されたか…! そろそろ打ち合いをしたいのだが、難儀な物だ!)」
「(そろそろ攻め時だろうか。煉獄ならば打ち合いをするのも悪くはない)」
二人の思惑が一致した瞬間、先に動いたのは義勇である。
カン、と木刀同士の乾いた音が響く。
そこから呼吸を使用せず、水柱は炎柱へ向かって滑らかだが力強く得物を振る。
カンカン、カンカンと小気味良い音が竹林中に響いた。
二人の柱の気質は正反対、使用する呼吸も対極だが、互いの胸中に浮かぶ思いは同じ高揚感である。
カン、と木刀が振られ、杏寿郎が後方に下がった。
木刀を右肩の上に構える ——- この動作は炎の呼吸の奥義である【煉獄】の構えだ。
義勇は今までの炎の呼吸と何かが違うと言う事を即座に判断し、自身も迎え打つべく木刀を下段に構える。
「玖ノ型 —— 煉獄」
「拾壱ノ型 ——— 凪」
炎の呼吸の奥義と義勇が独自に編み出した型が、激しくぶつかった。
★
「冨岡! しっかり食べているか?? 以心伝心のさつまいもご飯は絶品だぞ! まあここは何でも美味いし、絶品だがな」
機嫌良く己の好物を本当に美味しそうに食べる杏寿郎が、義勇の目の前に座っている。
勝負はこの通り炎柱の勝ちとなり、約束通り二人は早速杏寿郎の好物を食べに来たのだ。
時刻は昼の一時をまわった所である。
「(気持ちがいいぐらいよく食べている…。この男は何故いつもこんなに前向きなのだろう)」
一口、また一口とゆっくり食事を味わうように、義勇は米の上にのっているさつまいもを一つ取って咀嚼をする。
「(ホクホクしてて甘いが…とても美味い。煉獄と食べているからだろうか。ここも普段より高揚しているのが不思議だ)」