第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
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「あ、七瀬さん!今流れたのがそうですか?」
八月十三日の盆期間、時刻は二十二時を回った所だ。七瀬は自分の部屋の前の縁側で槇寿郎、千寿郎の二人と南天の夜空を眺めていた。
「うん、そう。流れ星だよ!あっ、また流れたね」
キラっと点が輝いた……と思う間もなく、流星は瞬く間に斜め下に流れる線になる。そうして夜空に余韻を残しながら溶け込むように消えていった。
「じっくりと観測するのは初めてだ。これは一晩にどれくらい流れるのだろうか」
うーむと顎に手を当てながら、聞いて来るのは槇寿郎。
七瀬がふふっと思い出し笑いをすると、どうした?と彼は疑問を投げかける。
「すみません、やっぱり親子だなあと改めて思って……」
「そうか?」
そうして、昨年しし座流星群を杏寿郎と観測した時の出来事を七瀬は話していく。
「今回の流星群は一時間に五十個程度流れると言われています。これは極大と言って最も星が流れる場合の個数なんですが、ちょうど今日がそれに当たります」
「通常時は一時間に一つか二つ見えれば良い印象だが…。それはなかなか凄いな」
「はい、そうなんです」
同じような事を杏寿郎さんとも話した。もう少ししたら帰って来るだろうか。彼女がそう考えていた矢先————
「ただいま戻りました」
「あっ…お帰りなさい!」
「お帰り」
「兄上、お帰りなさい!」
左奥から隊服姿の杏寿郎が姿を見せる。
「俺と観た時は、一時間に千個個流れる事もある…と君は言っていた気がするが?」
七瀬の右横に腰を下ろすと、ポンと大きな掌を彼女の頭に乗せる杏寿郎である。