第13章 ハロウィンの花嫁
渋谷に行けば術式を使うことになるだろう。故意に使うことは止められている。だけどママが死に際に私に言い残した言葉を思い出した。
“あなたの術式は愛。それは悪いものじゃない。相手の幸せを願う気持ちだから”
僅かに残っていた記憶が迷いを払拭した。家を出る前にもう一度鏡の前に立って、ウェディングドレスを服の上から合わせてみる。
悟は綺麗って褒めてくれるかな。
そんなことをちらっと想像してドレスを丁寧に箱に戻し、誰にも告げずに渋谷へと向かった。
仕入れた情報によると主犯の呪詛師は傑さんの体と術式を乗っ取っているという話だ。
学生の時可愛がってもらった傑さん――悟と道を違えてしまったけれど、悟のたったひとりの親友だった。そんな肉体を使うなんて許せない。