第6章 デートの練習
そうだ、五条先生にもどうかな? なんて頭に浮かんだ。……
だけど、明日いなくなってしまうかもしれない人のマグを買うなんて、いつもの私なら絶対無駄遣いだと判断してるし、何より色違いのマグカップを買うなんて、五条先生も流石にひくよねって自分に言い聞かせて棚に戻す。
「お揃いで買う?」
「え?」
「僕のと千愛のと。デート代から出すよ」
突然の申し出に驚いて声の方に顔を向けた。五条先生を三度見したけどどうやら本気みたいだ。
「でも……ジョーはすぐいなくなると思うし、ペアだし」
「僕も気に入ったんだよね、これ」
私が棚に戻したブルーの水玉模様のマグカップを、五条先生は大きな手に取って眺める。
「デート代は僕が好きに使っていいんでしょ?」
「そうだけど」
「んじゃ決まり」
あれよあれよという間に黄色のマグとブルーのマグが、買い物カゴの中に入れられて、私と五条先生でレジに向かった。
マグカップ同士が買い物カゴの中央に、まるで仲良しみたいに寄り添っている。
黄色マグが、一人じゃ寂しいから一緒で良かったってお喋りして、ブルーマグは、君に置いていかれたら寂しかったよなんて返事しているみたいで、ペアで買ってよかったなんて思う。