第6章 デートの練習
「千愛ってさ」
「うん」
「時々、自分のことみたいに僕のこと心配してるよね」
「そう……かな? そんな風に見える? だとしたら、それは呪術廻戦が好きだから……かな」
「それだけ? 今、僕は六眼は使えないけど、僕の魂は君が僕の――」
話の途中からよく聞こえなくなった。五条先生の声がフェードアウトしていく。声が遠のいて、一枚壁を隔てているような聞こえ方だ。
人口密度が高いのか、地下だからか、少し空気が薄い気もする。
酸素濃度が下がった時に発生するようなズキン、ズキンとした頭の痛みが発生してきた。いやな感じだ。
こめかみが脈打って、そのテンポに合わせるように、視界は色づいた世界からモノクロの世界へと変わっていった。
現実世界の渋谷駅ホームと二次元世界の渋谷駅ホームが混じり合うようにひとつの景色となって重なる。
――なにこれ。
そうか、これはきっと漫画の読みすぎだ。明けても暮れてもコミックスばっかり眺めてたから、現地に来て頭がバグってるんだ。