第6章 デートの練習
妄想の真っ只中に突然話を振られ、我に返る。
「私は、えーっと……確か……」
何してたんだろう。思い出せるかな。
古い記憶を辿るのは苦手だ。
2018年10月31日ハロウィン……懸命にその日に集中すると、同日の日付が書かれたカレンダーがパッと浮かんだ。
スマホに予定が書き込まれてて、カラオケって文字が見える。咄嗟に口にする。
「あ、カラオケでハロウィンパーティしてたかな」
「ふうん。どこで? まさか渋谷だったりして」
「どこだっただろう」
もう一度集中するけど、5人くらいのメンバーがいてそれぞれ仮装して歌ってポテトやピザやドリンクがテーブルに並んでる場面しか出てこない。
「場所までは覚えてないや」
「まぁそうだよね。ここの時間軸だとかなり前だし」
「……うん」
私がカラオケの場所を覚えてないのは流れた年月とはあまり関係ない。2018年のハロウィンの記憶はカラオケパーティーの断片的なシーンしか頭に残っていない。ただそれだけのことだ。