第6章 デートの練習
寂しげな言い方するから慌てて「ううん、そうじゃないよ」と否定した。嫌どころかぎこちない私をリードしてくれて本当は嬉しかった。
だけど……なんて説明したらいいのか分からず、あれこれ補足の言葉を考える。
「あーほら、手なんか繋いで、万に一つでも私達の間に恋愛感情なんて生まれたらいけないじゃん?」
冗談混じりで陽気に返答した。こう言ったら即答で「 なに言ってんの、そんなの生まれないでしょ」って笑って話が終わると思ったからだ。
だけど、そうはならなくて……。予想外の間が生まれる。
「…………まぁ、それは、困るかな」
「……でしょ? 同居しづらくなるもんね」
「それはないけど」
声色が変わり言葉が止まる。なんだろ? 最初クローゼットからこっちの世界にやって来た時はそんな事言ってたのに。
「ジョーが私に初対面で言ったんだよ。忘れちゃった?」
「覚えてるよ。ただ理由がさ」
「理由?」
「僕があん時言ったのとは別の理由なんだよね」
そこまで言うと五条先生は前を向いて歩いた。別の理由ってなんだろう。その意図を探ろうと、袖をぎゅっと掴んで時々チラチラッと横顔を見ながら歩く。