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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第34章 手紙とハンドクリームが起こした奇跡✳︎宇髄さん


あぁぁぁ!ダメ!無理!ドキドキして…何も決まらない!!!


隣の人に倣い立ち上がり、ゆっくりと進み始めた列に私も着いて行く。ひとり、またひとりと扉の外に出ていき、いよいよ次が私の番だ。


「今日のエレキも最高でした!次のライブも必ず参戦します!」


私の前の男性がニコニコと笑みを浮かべ、大きな声でそう言っているのが聞えた。


「ありがとう!外は寒いぞ!気を付けて帰るといい!」

「ありがとうございます!」


そのやり取りから、前の男性がギター担当の煉獄さんの前に行ったことがうかがい知れた。


そして


「次の方どうぞ」


私の番が来た。ドクドクと大きく波打つ心臓の音を聴きながら歩き、扉を通り抜けた先にいたのは


「…っ!」


大好きな☆HASHIRA☆の5人だった。伊黒さん、不死川さん、冨岡さんの視線はこちらに向いていなかったものの、煉獄さん(眼力が凄い)、そして最も大好きな天元さんの視線はばっちり私の方へ注がれている。


…っやばい…天元さんが…私の事…見てる…緊張して…どうかしそう…!


思わず脚が止まってしまいそうになるも、私の後方にも、私と同じく☆HASHIRA☆達から直接プレゼントを渡されるのを楽しみにしているファンが沢山いる。

震える脚を何とか動かし、まっすぐに真ん中に立っている天元さんの元へと向かい、横長のテーブルを隔てその前で立ち止まった。


「お!意外や意外、俺のところか!」


ニヤリと私に笑いかけそう言った天元さんに


…っ…だめだ…


用意してあった言葉は、どれもこれも綺麗さっぱりどこかへ飛んで行ってしまった。天元さんはそんな私に向け


「いつもありがとさん」


5センチ四方の透明な袋に入ったギターのピックを差し出してくれた。震える手を懸命に抑えながら両手でそれを受け取り


…何か…言わなきゃ…っ!


そう思うも、喜びと緊張で何一つ言葉が浮かんでこない。それでも何か言いたい、言わなきゃと懸命に搾り出した言葉は


「…く…口下手で…何も言えません…ごめんなさい!!!」


そんなしょうもない言葉だった。

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