第35章 約束
ほの花達と鰻を食べに行った後、俺たちはそれぞれ単独任務があったりで、バラバラに行動していた。
あの日、初めてちゃんと宇髄さんという人を見たけど、その時気づいたことがある。
鰻を食べに行っている間ぷんぷん匂っていた匂いの正体。
それが彼から発せられていた怒りの匂いだということに。
俺は鼻が効くから匂いで分かることも多い。
そして、善逸は耳が良いのでその日ずっと変な音がすると言っていた。
あの後、二人で答え合わせをしたところやはり宇髄さんから発せられた物だと合致したのだ。
ほの花と宇髄さんが恋仲だったのは知っている。
その後、ほの花が彼に忘れ薬を飲ませて関係性は解消したことも。
それなのに宇髄さんから発せられた怒りの感情は一体何なのか。
恋愛ごとには疎い俺だけど、それでもその怒りの正体は一つしかない。
"嫉妬"だ。
ほの花は忘れ薬を本当に飲ませたのかな。
飲ませたのならば効いていないようにすら感じる。宇髄さんから溢れていたのは独占欲のような激しい感情。
それが向けられていたのは間違いなくほの花のそばにいた俺たちにだった。
(…えぇ…?まさか記憶なくても怒られるってことはないよな…?)
しかし、その後特に宇髄さんが訪ねてくることもなく、俺たちは日常へと戻って行ったのだった。
最近は単独任務が多い。
少し前まで善逸や伊之助と行動をすることが多かったからか単独だとやはり疲労度が違う気がした。
そんな任務の帰り、蝶屋敷の前を通りかかったら女の子の叫び声が聴こえてきた。
近くを通りかかったから挨拶でもしていこうと思ったのにまさか事件に遭遇するとは思わなかった。
叫び声に慌てて蝶屋敷に飛び込めばそこにいたのは見覚えのある大きな男性。
間髪入れずに止めに入ったが、女の子達を抱えているのは間違いないのに…
(…群がられている?捕まっ…?どっちだ?)
キョロキョロと見回してもそこにほの花の姿はない。
ということはこの人一人だということ。
しかし、「助けてください〜」と言う声に我にかえると俺は宇髄さんと向かって飛びかかった。