第29章 停戦協定※
明らかに後悔しているといった表情で私の体に慈しむように触れる宇髄さん。
確かに怖かったけど、これは宇髄さんだけが悪いんじゃない。
彼は自分が悪いって言ってるけど、私があまりに鈍感で無神経な発言をしたからいけないのだ。
そうでなければ彼はあんなにも怒ったりしなかったのだから。
「…天元…?お願いがあるの。」
「ん…?お願い?」
折角、瑠璃さんがくれたこの機会をみすみす逃すわけにはいかない。
ちゃんと此処で蟠りを解消しないと私たちの中で気まずい空気が流れ続けることになってしまう。
「…あのね、やり直し、したいんだけど駄目…?い、痛くない、やつ…。」
「…は?!い、いや、…でも…、い、痛くねぇか?その…下が滲みるんじゃねぇ…?」
「ううん。大丈夫…!その、折角…瑠璃さんにお化粧してもらった、から…ちゃんと、仲直りしたい…んだけど…駄目?」
懇願するように見上げれば、宇髄さんは首がもげるのではないかと思うほどに背けて目線を逸らすので一瞬嫌がられてるのかと思い悲しくなった。
でも、逸らした顔が真っ赤に染まっていて、それが"照れている"のだと分かればその気持ちも薄れていった。
「…その顔で、見んなって…!派手に可愛くて…照れる…っつーか、アイツ…、余計なことしやがって…。お前は…、そのままで十分なんだわ!俺ですら目のやり場に困るんだぜ…?」
「…天元にしか見てほしくないのに…見てくれないの?」
「あーもうー……、煽ってどうすんだよ…?」
天を仰ぐと宇髄さんは私の肩に手を置いて再び口づけをしてくれた。
でも、今度のそれは熱い唇と共に舌が割り入ってきて情熱的に自分の舌と絡み合った。
ザラザラとした舌が奥まっていた私の舌を器用に掬い取るとさらに奥へと入って行く。くちゅ、と言う唾液が絡む音がより情欲を掻き立てるので、宇髄さんの首に縋りついた。
角度を変えて貪り合うその口づけはお互いの唾液を交換しているかのように熱情が溢れている。
「……ほの花、その化粧も着物もすげぇ似合ってる。やり直し、していいか?」
「うん。天元…?大好き。」
「ああ。俺も。愛してる。」
お互いの想いを口にすれば、再び吸い寄せられるように口づけをしてそっと押し倒された。
その手が壊れ物に触れるように優しかったので目頭が熱くなった。