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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第4章 病魔 前編


「あんたの記憶は、悲しいばかりじゃないだろ?」



「!」

みひらく瞳。

その視線の先で、ボスキは優しい笑みを浮かべて見せた。



「あんたの眼は優しい色をしている。それは幸せな記憶がある奴のするそれだ。


だから、まぁ………なんだ、あまり悲観するものじゃないと思うぜ」


みずからの後頭部に指をかけ、途切れがちに告げる。

そのぎこちなさに笑みを零すと、彼は少しだけ睨んできた。



「っ……笑ってくれるなよ」

朱の差した頬。その内を気恥しさが駆け巡った様子で軽く目を眇めてきた。



「ご、ごめんなさい。でも……なんだか、」

尚も微笑うその姿に、彼の両眼がふっ………と解けた。



「やはり俺は、その笑顔が存外気に入りのようだ」

心からの言葉に今度は彼女が照れる番で………。



「…………!?」



「顔が赤いぞ、主様?」

ニヤニヤと、狡猾さが滲み出る笑み。

仕返しとばかりにからかわれ、ふいと視線を解いた。



「もう……!」

ぽかぽかと身体を叩いてくる彼女を抱きしめる。



(あんたといると、欲張っちまいそうになる)

稀有な色彩を纏う、儚く脆い少女。



諦めた筈の願望いを、とうに棄てた感覚の意味を、

もう一度追い求めてみるのも悪くねえかもな。



口にできぬ想いを抱いて、ただその腕に包んでいた。
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