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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第3章 捻れた現実


「皆のこと、悪く言わないでください」

棘も刃も纏わない凛とした声音だった。

それでもたしかに宿る怒りに、そこにいる誰もが気圧される。



「なっ……! でも、あんたが———、」

動揺している彼らの眼に、毅然とした表情の彼女が映る。



「本当の姿を知りもしないで、悪く言うのは子供のすることです。


あなた達の勝手な思い込みや先入観だけが、正しいなんて思わないで」


したたかに彼らを見返す。

しばし瞳を合わせたのち、ややあって、先に視線を解いたのは彼らのほうだった。



「お待ちどおさま、お前さん」

包みを差し出す店主の手からそっと受け取ると。



「いこう、ふたりとも」

呟き、衝撃と動揺に固まっていた彼らの横をすり抜けた。




カツ、カツ……と響く長靴に、我に返った彼らが言葉を投げつける。




「悪魔執事どもにはお似合いだ、偽善者の面を被った女狐が……!」

その声を無と看做して、ただ歩み続けた。
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