第2章 主人として
朝食を食べ終えた、その数時間後。彼女を連れて、屋敷の廊下を進む。
はじめて目にする古風な部屋の一つひとつに、彼女は瞳を煌めかせた。
みた者を圧倒させる、鮮烈な存在。
そのなかに、子供のような無邪気さと、澄み渡るように清らな内面を見止めた。
「もおおおぉ……!」
シッティングルームから聞こえる、笑い声。
「ラムリくんでしょうか。………主様、行ってみましょう」
「うん」
叩扉をすれば、「どうぞ」と穏やかな声がした。
「失礼いたします」
ベリアンの先導で静かな靴の音とともに、足を踏み入れると。
「こんにちは、主様♪」
ややクセのある、黒曜に紅紫色のインナーカラー入りの
ショートウルフカットに切り揃えられた巻き毛で、
つむじにはアホ毛と、
前頭部の両サイドに犬耳のように短い髪が外向きにカールした髪を持つ青年。
まん丸いグリーントルマリンの瞳は何処か稚い色彩を帯び、
微笑う口元には犬歯の目立つ歯並びがのぞいている。
黒曜と桑の実色のストライプ柄のリボンタイは
エメラルドグリーンのブローチで留められ、
白いシャツにはブローチと同色の飾り釦が並んでいる。
ジャケットには両肩に
純白の毛並みのところどころに浅紫色のアクセントカラーの入ったボアを合わせ、
黒地に星々の柄入りで、その袖口には華やかなカフスがのぞく。
そのテイル部分には髪色と同色の地に黒のダイヤ柄が入り、
その先端には柄と同じ形状のチャームが揺れている。
脚衣は七分丈で折り返した裾にはアクセントに黄茶色が入り、
その足元は白と黒曜のストライプ柄の靴下に
白の靴紐で締めた黒いレースアップブーツで、
ヒール部分からソール部分にかけて
折り返した脚衣の裾と同色のパーツが用いられた靴を履いていた。