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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第2章 主人として


「主様、フルーレです」

叩扉の音に、慌てて夜着を正した。



「どうぞ」

リボンを結びながら応えると、静かに扉がひらく。



「失礼いたします」

現れたのは、少女と見紛うほど、整った顔立ちをした青年。



白青(しらあお)色の髪を耳の上辺りまで編み込み、


その両耳には中黄色のクロスチャームピアスが、彼が動く度にゆらゆらと揺れている。



白と群青色のストライプ柄のリボンのついた黒のベレー帽をかぶって、


中央に新橋色のブローチのついた同色と白群色のストライプ柄で、


かつ裾と前身頃に縦に4本のフリルを渡らせたのケープレットを纏っている。



ケープレットの下からは白と瑠璃紺色のストライプ柄リボンがのぞき、


その下に広がるシャツの裾は二段重ねのフリルで華やかに揺れている。



上着から伸びたテイル部分には


利休白茶色と薄花色のグラデーションの地に前身頃と同色のフラワーモチーフの刺繍がほどこされ、


足元は黒のレッグストラップに彩られた黒曜の靴下に


群青色の厚底のレースアップシューズを合わせ、蝶々結びが華やかに揺れていた。



その双眸は、白青のなかに紅の光彩の入り混じる、稀有なる瞳。



(……可愛い子、)

陽に透かしたエルバアイトのように、温かく、それいて深い色彩をしていた。



「主様、俺の顔になにか付いてますか」

戸惑う声にはっとする。



「ごめんなさい。綺麗な眼をしていると思ったの」

ありのままの心を口にすると、瞠目する瞳。



「あなたのほうが、ずっと美しいですよ」

視線を解きながら呟く。けれどその頬は朱を集わせていた。



「そんな……私なんて………。」

笑みをのせた唇は、美しい弧を描く。


けれど………。


その眼は凍てつくような冷たさだった。
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