第1章 はじまりの夜
猫の鳴き声が聞こえた気がして、ヴァリスはゆっくりと瞼をひらいた。
「! 主様」
傍らの椅子に座っていた青年がほっとしたような表情をみせる。
白磁に紅と黒曜のメッシュが入り交じるふわりとウェーブがかった髪、
その瞳は髪と同じ色合いの紅色で、陽に透かしたロードナイトのように温かく、
ふわりと揺れる左サイドの髪の耳朶には
瞳と同系色の紅紫色のシンプルなスタッドピアスがちらりと見えた。
白と黒。その布地が半々ずつ切り替え
燕尾服として仕立てられたジャケットにはその両の胸元に紋章が入り、
折り返した袖口には
右手首は黒地の裾に同色のフリル、左手首は白地に黒いフリルがあしらわれている。
そのテイル部分(背中側の後ろに伸びた裾)は
紺色と鴇(とき)色のグラデーションのかかったストライプ柄で、
ジャケットの下には赤のタブレットと金色の懐中時計を合わせている。
胸元を飾るのは黒いフリルのついたネクタイで、
それに細身の脚衣を合わせており、
それぞれジャケットと同じ———白の黒の布地が半々ずつ切り替えられた服を身に纏っている。
足元は黒と白のストライプ柄のリボンで編み上げたショートブーツで、大きな蝶々結びが揺れていた。