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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第4章 病魔 前編


「先程の主様、いつもと御様子が違いましたね」

ナックの言葉にラムリが頷く。



「ムカつくけど、ボクも全く同じように感じたよ」

寂しそうにゆらめく瞳。

その目尻はわずかに露を湛えていて、彼も己と同一の想いを抱いているのだと悟った。



「私が御様子をみてきます」

身を翻したナックの肩に指をかける。



「ナックくん、………今は駄目ですよ」



「! ベリアンさん」

やんわりと咎められ、彼の両目をみつめる。

心の糸の綻びを探すように見返すも、その瞳は透えぬヴェールを纏っていて………。



「主様はひとりにさせてほしいと仰せなのですから」

そう口にしたが、それは半ばみずからに説き伏せているようでもあった。



「そう……ですね」

彼がなにかを堪えるように視線を解く。

もや、もやと感情の埃がその内を満たしはじめ、振り払うように瞑目した。




やがて、それぞれの仕事へと戻る一同。

けれど考えるのは彼女のことばかりで………。




(主様……。)

したたかで、けれど誰より繊細で脆い、鮮烈な炎のような少女。

心のなかでその姿を描いていると、ふと風が強くなっていることに気づいた。



窓の外では身を裂くように強い木枯らしが吹き荒れている。
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